2011年10月9日

復興対策と銘打ってハゲタカを誘う日本政府の怪





  朝起きて、空を見るのが日課となりつつある。
  鳥を探しているのだ。
  震災の後めっきり減ったと言う。スズメ何ぞはほとんど見かけない。

  が、今朝は珍しく鳥の鳴き声が騒がしかった。
  群れをなして空を舞う姿を見かけた。

  それが嬉しくて、いい日になると予感した。



  そんな今日の気になるニュース。


復興特区の新設企業、法人税5年間実質ゼロに



 
  政府は8日、東日本大震災の復興対策として、規制や税制などを優遇する復興特別区域(復興特区)で、法人税を5年間にわたり実質ゼロにする新たな措置を導入する方針を固めた。
11日に開く政府税制調査会で決定する方向だ。
新たな優遇措置は、特区内に新設された企業を対象とする。所得を5年の間「再投資等準備金(仮称)」として積み立てる形をとることで、所得をゼロとみて法人税がかからないようにする。6年目以降は、積み立てた準備金で工場を建てるなど特区内に投資すれば、全額を一括償却できるようにする。当初5年間と6年目以降で二重の節税効果を持たせ、特区への投資を強く促す。
一方、制度の悪用を防ぐため、被災者を5人以上雇用することや、人件費を総額1000万円以上払う、などの条件を付ける。政府は、大企業が新規子会社を作って工場進出する活用法などを想定している。
訪米中の古川国家戦略相は7日、ニューヨークで講演し、復興特区に関して「企業が新規に立地したら5年間は法人税を免除するなど、前例のない、他国にも引けを取らない措置を考えている」と述べた。(2011年10月8日12時03分 読売新聞




  東日本大震災の被災地周辺の復興特区に新規参入した企業に対して、法人税を5年間免除するというもの。
  しかも、被災者雇用が条件とある。

  時を同じくして、見ていたTVでは、「社会貢献ビジネスで被災地を救え!」という日本企業家たちの被災救済ビジネスプロジェクトの番組が放送される。(サキどり10月9日放送「社会貢献ビジネス"で被災地を救え」


  私の中では、このニュースと感動的な番組が合致した。
  特にコットンプロジェクトのタンデムさんがたまらない。メイドイン東北のタグを付けたジーンズをぜひ買いたいと思ったものだ。


オンラインで購入できます。
http://www.tandem-web.com/index.html


  私の頭の中で合致したように、こういう日本の企業と政府の政策が上手く結びついてくれれば、東北や日本の復興に対して申し分のない政策のように思われた。


  が、気になるのは、財務省の発表である。

  私はニュースを見た後すぐに財務省のHPを観に行ったが、10月7日の報道発表には同ニュースがない。どうやら日本での発表に先駆けて、訪米中に発表したらしい。

日本の企業家支援というよりは、記事にあるようにあくまでも外資の参入を促すための特例であり、それが第一前提の政策であるようだ。

  (下、日本経済新聞はもっと露骨↓

『古川経財相は「特区内で規制緩和を実現し、成功したら日本全体に広げる。復興を新しい日本の構造改革を進めるきっかけにしたい」と述べた。法人税の実質5年間免除については「外国企業も対象になる」と明言。この措置が海外から日本への投資を促すことに期待感を示した。』)


  一瞬、目くるめく東北復興の図が浮かんだ私だが、それもすぐに萎んだ。

  外資に法人税タダで儲けさせても仕方がない。日本の企業の支援が目的じゃなかったのか、勘違いさせるような番組を報道と同日に国営放送で放送するのも作為的なものを感じさせられる。

  で、新規参入の海外の企業には『前例のない、他国にも引けを取らない』などという至れり尽くせりの措置を約束して、実際の特区はどうかと言えば、住民に多額の負担を背負わせて(特区内の内陸に)追い出しての復興支援(事業)がやっとの有様である。
  それさえも、未だ道のりは遠いと言う。



『東日本大震災:特区法案了承 集団移転、住民同意が壁 補助拡充でも道のり遠く』毎日jp10月8日より

『ただ、残された課題は多い。被災市町村が集団移転事業を実施するには、対象となる住民の同意が必要となる。しかし、仙台市の試算では、沿岸部の住民が内陸に移転する場合、移転元の土地評価額が下がるため、移転に伴う被災者の自己負担は約3000万円に達するという。多額の負担を背負いつつ、住み慣れた土地を離れる決断は難しく、「何度も話し合って住民に納得、決断してもらうしかない」(平野達男復興担当相)のが実情だ。』


  海外の企業を誘致する以前に、まずはTV番組のように日本の企業家を前提とした政策は作れないものなのだろうか。
  もちろんあの番組のように日本の企業家でも当然該当する措置となります、等と平然と言うならば、まずはこの国に向けて発信してほしいものだ。三連休直前の報道発表が休みとなる時に、しかも訪米中の講演で発表なんてどっちを向いた政策だか記事を読む以前にわかりそうだ。


  それから、対象となる特区の土地はどうやって選ぶのだろうか。

特区法案で復興特区の対象とされた、岩手、宮城、福島3県と、青森、茨城県など7県の一部計221市町村の自治体が、「被災自治体は特区計画を盛り込んだ復興計画を作り、国に提出する」場所と同じと言うならば、完全に自治体に任せ、復興事業と集団移転事業に丸投げ、と言う状態である。
   住民に多額の負債を抱えて、住み慣れた土地を離れるという難しい決断をさせた上での特区誘致計画ということだ。

  思うに、毎日JPの記事で、 『政府は7日の復興対策本部で、国庫補助と地方交付税の加算により、復興事業の地方負担をゼロとすることを了承。』とあるように、地方自治体の復興事業負担費をゼロとすることと引き換えに、この新規企業への措置計画を飲ませたのではないかと想像する。


  日本の企業家の方を向いていなければ、既存の事業者に対しての支援政策でもない。彼らは優遇措置から除外されている。しかも新規参入企業一企業に付き、被災地雇用者はたったの5人である。(これで被災地雇用対策になるのだろうか?)
  地方自治体に住民(既存事業者の住民も含む)を追い出させての誘致計画だと思わざるを得ないのだ。

 『この措置が海外から日本への投資を促すことに期待感を示した(日本経済新聞)』と言えば聞こえがいいが、要するに「投資」とは「奪略」と同じ意味ではないか。

 

  「アメリカ経済は、本質的な意味で、もう富を創造できなくなってきています。文明批評的にいえば、そういう病的な段階だと私は思います。だから、いろいろなところに行って、獲物を探しているのです。
  今のアメリカ経済は、特定の人だけのマネー経済です。その特定の金融エリートや金持ちだけがメリットを受けるために、その種をよこせというのが、アメリカの言う『投資』なのです」

  とは、『国富消尽』の第五章、「アメリカの対日圧力を考える」に出てくる故・吉川元忠氏が表現した米国の「投資」と言う言葉であるが、私はこれを聞いてずいぶんと納得したものである。


  なのに、現政権の財務大臣はみすみす米国を訪れて、「投資してください」とアピールする。
  日本の為の復興など何一つ考えていないだろう、と、私が想像するのはあながち間違っているとは言い難いのではないか。
  「強奪してください。」
  「今がチャンスです。邪魔な特区の住民はこちらで追い出しますから、どうぞどうぞ」
  と、禿鷹に向かって手招きしているとしか思えないのだ。