2012年1月2日

「トカトントン」を吹き飛ばす箱根駅伝、往路スタートしました!




箱根駅伝はじまりました!



「箱根駅伝がスタート…20チームが熱戦」 (読売)









今日の往路の見どころは、やっぱり東洋大です。

4年連続往路優勝なるか。
新・山の神、柏原 竜二選手の4年連続区間賞なるか。

現在3区、戸塚 ~平塚間で、早大の矢沢 曜選手と東洋大の山本 憲二選手が先頭を争っています。

ずっと併走が続いているけど、早大の矢沢選手、ちょっと顔が苦しそうですね?


駅伝というと学生時代をどうしても思い出します。

苦しくて苦しくて足元ばかり見て走っていた。

何度もの経験の中で一度だけ印象深いことがありました。ゴール間際で応援していた国語の先生が、(いや、体育とか部活の先生じゃなくて、国語ですよ)こう大きな声で言ったです。

「〇〇〇、(私の名前)走れ!」

下を向いて息も絶え絶えだった私は、まるで三途の川から呼び戻されたようにはっとして、大きな声で、ハイッ、と答えました。

先生の顔を見た。相手も必死の形相でした。今思うとなぜでしょう、担任でも部の顧問でもなんでもない先生だったのですが、不思議なものです。よほど私が苦しそうだったのか。(笑)

で、私は、ハイッと答えて、先生の顔を見て、それから真っ直ぐ前を見ました。もうすぐグラウンドが見えてくる駅伝のコースを、冬の木々が立ち並ぶ景色を、青い空も視界に入りました。

そして、猛ダッシュを始めたのです。

駆けて、駆けて、ラストにグラウンドを一周して、ゴールまで駆け抜けた。


あの時は気持ち良かったなぁ。

もしもあの時、あの国語の先生が黙って見ていたら、私は地面だけを見つめたまま、息も絶え絶えのまま、酷いタイムでゴールしていたと思います。それでもできる限り頑張ったんだ、と思い込んでいたと思います。


なんでこんなことを思い出したんだか。うん、社会人になって何度も読んだんですよ、太宰治の「トカトントン」、全力で走る選手を見て感動し、熱い気持ちを取り戻した主人公のお話。




別に、この駅伝競争に依って、所謂文化国家を建設しようという理想を持っているわけでもないでしょうし、また、理想も何も無いのに、それでも、おていさいから、そんな理想を口にして走って、以て世間の人たちにほめられようなどとも思っていないでしょう。また、将来大マラソン家になろうという野心も無く、どうせ田舎の駈けっくらで、タイムも何も問題にならん事は、よく知っているでしょうし、家へ帰っても、その家族の者たちに手柄話などする気もなく、かえってお父さんに叱られはせぬかと心配して、けれども、それでも走りたいのです。いのちがけで、やってみたいのです。
(トカトントンより)



そう思った主人公は、しかし一瞬で冷めます。
何に熱くなっても、直後に「トカトントン」という音が落ちてきては冷めてしまうという、ニヒリズム(の幻想)に憑りつかれてしまいました。
私はこの物語の通りだ、人の世(私)はこの通りだ。頑張っても何にもならない。熱くなるのは馬鹿馬鹿しい。よくそう思ったものです。



でも、箱根駅伝ではたくさんの人が沿道から応援しています。

そして、私には国語の先生がいました。


誰にだって、一人くらいはそんな応援団がいるものですね。



山の神・柏原選手も、他のすべての選手たちも、是非頑張っていただきたい。


さぁ、みんなで応援しましょう!







「第88回東京箱根間往復大学駅伝競走往路選手リスト」

「箱根駅伝公式Web」

「第88回箱根駅伝 日本テレビ」

「トカトントン」(太宰治)