2014年1月19日

死の商人から純国産エネルギーへ舵を切る





東芝、原子炉3基を納入へ 巨額工費、コスト管理が不可欠
(SankeiBiz 2014/1/16 08:15)

 東芝は英国の原子力発電事業会社のニュージェンを買収することで、海外での原子力事業の売り上げ拡大につなげる。国内は東京電力の福島第1原発事故以降、原発の新設が見込めず、再稼働も遅れている。海外でもロシア企業などとの受注競争は激しくなっており、巻き返しを図る。

 一部の先進国や新興国では、電力需要の増加やエネルギー安全保障の観点から、原発のニーズは根強い

 今回、ニュージェンを買収することで、英国で子会社の米ウェスチングハウス(WH)の原子炉を新設する機会を手にする。新規受注は約5年ぶりだ。
 田中久雄社長は「いい買い物だと思う。欧州はブルガリアやチェコの案件もあり、実績作りになる」と話す。
※赤太字は筆者による


 恐ろしい、東芝、いつから死の商人になってしまったんだろう・・

 と、心のつぶやきは置いておいて、

 巷でよく言われれる「原発はエネルギー安全保障の観点から必要」、という考え方、それって本当ですか? 都市伝説ではなくて?

 というのも、原発推進派は、原発の再稼働を求める際にも、この「エネルギー安全保障」を口実にするのです。

 例えば、人気ブロガーで経済学者の三橋貴明氏は、こう言っています。(彼はエネルギー安全保障の観点から原発推進派の田母神氏を応援しています)
 


 現実には、原発を再稼働しない限り、我が国のエネルギー安全保障は確保されず、天然ガスの輸入代金として毎年数兆円の「わたくし達の所得」が外国(中東)に差しだされ続け、さらに電気料金が上がり続け、国民の可処分所得は下がります。
 上記の説明をされても、彼らの結論は変わらないのでしょう。「脱原発は、脱原発しなければならないからやるべき」というのが彼らの姿勢で、そこを「ビジネス目的」の偽善者たちに付け込まれているというのが我が国の脱原発運動なのです。いずれの連中も、国家、国民の繁栄を妨害しようとしている点で、実に邪(よこしま)です
邪(よこしま)な人たちより』
 ※青文字赤字は三橋氏による 赤太字は筆者による


 確かに、福島原発事故(2011年)以降、燃料調達費が増大した日本は、31年ぶりに貿易赤字に転落しました。燃料調調達費の削減は日本経済にとって喫緊の課題となっています。
 資源エネルギー庁の資料(※化石燃料調達をめぐる環境変化について)によると、2010年から2012年までにLNG(天然ガス)の需要は約3割の増加に対して、LNG輸入額は3.5兆円から6兆円へ約7割増加しています。LGNの輸入価格が2年の間に5割上昇したためです。私はこれはエネルギー価格の高騰によるものだけではなく、今まで日本が原発に頼っていたことから、足元を見られたのではないかと推測しています。
 資源エネルギー庁は天然ガスの調達価格低廉化に向けた対応策として、主に、①米国からのLNG輸入の早期実現と②供給源の多角化による競争の促進を掲げています。(体裁上は原発再稼働を謳っていません)

 ところが、期待の①米国からの輸入ですが、2014年の動向として、北米では価格低落により採算が合わなくなったシェールガスの開発を見送ることになりました。天然ガスよりシェールオイルの開発に力を入れているそうです。米国内ではガスとオイルの増産によりエネルギー需要が満たされているので、おかげで国際需要が減ったことから、アフリカや中東の産油国が原油の販売先をアジアに求める動きも出てくると言われています。つまり、今年は石油が安くなりそうだということです。(※2014年も原油価格下落と天然ガス市況の回復が続くより)脱原発にしても、貿易赤字はそう増えないのではないかと思われますが、しかし、天然ガス(シェールガス)でエネルギー安全保障を確保しようと目論む日本政府の方針とは違う方向で市場は動いているということです。これでは解決策になっていません。他国に頼みにしていたら、いつまでたっても日本のエネルギー安全保障は危ういままです。そこで、②供給源の多角化の道を見つけるために、日本でのエネルギー自給率を高めることを模索する必要があります。日本企業によるシェールガス革命を進めなければならないでしょう。ところがこのシェールガスの開発はお金も時間もかかる。

 ならば即効性のある原発をまずは再稼働して、日本経済をどうにかしないと・・ という意見が出てくるのですが、ここからが都知事選で争点とされているように、原発で日本の未来を発展させるか、原発以外で日本の未来を発展させるかの分かれ道になります。
 
 まず、大前提に、原発は日本のエネルギー自給率に含まれていません。我が国のエネルギー自給率は、水力・地熱・太陽光・バイオマス等による4%に過ぎません。原発発電に使用する資源のウランはすべて輸入に頼っています。先ほどの米国頼みの液化天然ガスと同じ扱いなのです。(※2011年エネルギー白書より)

 原発はエネルギー自給率に括弧とじでようやく記載される「準国産エネルギー」です。ウランは一度輸入すると、使用済み燃料を再処理できます。なので、資源依存度が低いということで、そう、あくまでも(他国への)依存度が「低い」ということからです、原発は「準国産エネルギー」と言われているのです。確かにこの準国産エネルギーのおかげで、日本の「準国産エネルギーを含む」エネルギー自給率は2008年に18パーセントになりました。(※2011エネルギー白書より)
 が、そのウランを再処理するために、日本は茨木に東海村、青森に六ヶ所村という再処理施設(工場)を設けています。どこかの土地を犠牲にして、エネルギー自給率をわずか数パーセント増やすためだけの「準国産エネルギー」を作っているのです。おまけにその「純国産エネルギー」の再処理は、あのウラン、プルトニウムを混合した危険なプルサーマルでの原子力発電計画を前提としています。この危険なMOX燃料を未だに自国の電力計画に取り入れているのは、世界で日本とあの原発大国のフランスだけです。米国でさえプルサーマルには及び腰です。
 核管理研究所(NCI)科学部長のライマン博士は14年前の論文でこう言ってます。
『MOX炉心のアクチニドの量が大きいということは、重大な封じ込め機能喪失事故から生じる影響(急性死や潜在的ガン死)が、ウランだけを使った炉で同じ事故が起きた場合と比べ、ずっと大きくなる可能性があることを意味している。日本は、MOX燃料を使用する計画を再検討しなければならない。米国の例にならって、重大な封じ込め機能喪失事故が日本でも起こりうるという事実を受け入れ、MOX燃料の使用のリスクを評価すべきである』(※プルサーマルの危険性を警告するより)
 日本はそういった警告をずっと無視して来ました。脱原発に舵を切れませんでした。そして、福島第一原発の事故を起こしました。福島原発の3号炉はプルサーマルです。『事故から生じる影響(急性死や潜在的ガン死)が、ウランだけを使った炉で同じ事故が起きた場合と比べ、ずっと大きくなる可能性がある』ということから、これからも福島原発事故による死者は増大する可能性があるでしょう。それでもまだ原発を売って、原発を再稼働すると言っているのです。

 日本はエネルギー安全保障のために、早急にエネルギー自給率を上げなくてはなりません。それは、日本経済にとって喫緊の課題です。しかし、エネルギー安全保障の為に原発が必要というのは、都市伝説に過ぎません。いえ、都市伝説は言いすぎですが、その考え方はもう通用しない、ということを私は主張したいと思います。これからの日本のエネルギー自給率は、原発・・もとい、膨大な犠牲を払い、膨大なリスクを伴う「準国産エネルギー」によるもので高めるのではありません。誰もが幸せになる新エネルギー、そう「純国産エネルギー」によるものによって高める必要があるのです。
 




 
 原発の代替エネルギーというと、必ずそれは無理だ、再生エネルギーなどただのお花畑だ、という方がいます。
 例えばファーイーストコンサルティングファーム代表の山口巌さんという方はこんなことをおっしゃっています。


■「再生可能エネルギー」という名のお花畑

「原発再稼働」の話をすると、必ずといって良いほど出て来る話が「原発再稼働」ではなく、「再生可能エネルギー」で対応すべきという主張である。私は何も「再生可能エネルギー」の試みの全てを否定する積りはない。温室効果ガスの削減は世界的なコンセンサスである。従って、意識が高く経済的に余裕のある国民が自宅の屋根に太陽光発電の設備を設置し、化石燃料の燃焼削減に幾分かでも協力する事は称賛すべき行動と理解している。
しかしながら、太陽光発電の採用が可能なのは、仮に雨で太陽光発電量がゼロであっても予め電力会社がそれを予想した上で電力需要を積算し、発電計画を作成して停電を回避しているからである。原発が停止している現在、化石燃料を使用する発電の完璧なバックアップがあっての太陽光発電であるという事である。太陽光発電は余程蓄電池が高性能且つ廉価にならない限り単独では使い物にならないが、その可能性は絶望的に低い。
安倍首相は早急に「原発再稼働」を宣言すべきより』




 再生可能エネルギーといえば、太陽光発電、と決めかかって、太陽光発電は無理だから、原発を再稼働せよ、と迫っています。その他の新エネルギーの選択肢は全く考慮していないようです。この山口さんはシェールガスを輸入するために、つまりエネルギー安全保障のためにTPPに入るべきだとも言っています。TPPという国家主権を失う亡国の経済圏に参加しなければならないのは、日本のエネルギー自給率が低いことが原因なのだそうです。しかし、もういいましたが、アメリカは廉価なシェールガスの開発を見送りました。また、原発に頼っても日本のエネルギー自給率は、永遠に上がりません。ウランがなくなったら終わりなのです。プルサーマルという危険な、ただの「準国産エネルギー」を作り続けるだけです。
 
 原発に頼らなくても、私は日本には素晴らしい新エネルギーがたくさんあると思っています。原発にかけるお金を、新エネルギーの開発費用に使っていただきたいと思います。シェールガスもそうですが、天然ガスの代わりに木質バイオマスガスを使ったコジェネレーションシステムはどうでしょうか。また、海藻発電も画期的だと思います。

 これからは地球温暖化が進むでしょう。地球環境の変化が起こり、今までのように化石燃料を輸入するのは難しくなります。エネルギー資源も限られています。日本は早急に国としてのエネルギー政策を転換する必要があります。新エネルギーは決して、お花畑などではなく、既に実用に向けた技術が進んでいるのです。原子力ムラの障害さえなくなれば、あっという間に日本のエネルギー安全保障を安定させる「純国産エネルギー」に躍り出ることでしょう。