2014年1月30日

限りなく利益相反行為的な安倍首相の信念


 
 安倍首相が靖国神社に参拝した時は感嘆した。アメリカの意向を承知で行動に移すとは、なんて素晴らしい信念の人だ! と思ったものである。

 だが、原発推進にかける信念だけはいただけない。それがNHK絡みなら尚更である。

 暴言問題で今その進退を取り沙汰されているNHK新会長の籾井氏は、安倍首相の支援者であるJR東海会長葛西氏から推薦されて抜擢されたそうである。

 葛西氏は安倍首相と極めて思想が近いらしく、その葛西氏の人選ならば、言論統制が目的で政府がNHKを牛耳ったと思われても仕方がない。

 安倍首相は29日の代表質問で、「原発再稼働を前向きに検討する」と原発再稼働に意欲を示す発言をした。来月政府が発表する「エネルギー基本計画」もその発言通りの方針(=原発を重要なベース電源とする)で行くつもりだろう。超党派の国会議員で作られた「原発ゼロの会」がいくら騒いでも、国の中長期的なエネルギー計画は、すでに再稼働した原発をベースに進めていくことで決定しているに違いない。だから、エネルギー基本計画決定前に、話題性のある都知事選の原発発言は取り締まらなければならなかった。

 せっかく東京新聞がばらしてくれたのだ。もっと大っぴらになればいい。「原発ゼロの会」はこの言論統制についても騒ぎ立てたほうがいい。都知事選にも宣伝すればいいのだ。

 都知事が打ち出した施策が、国の施策になることはままある。1969年の美濃部都知事の70歳以上の医療費全額無料化に、2003年の石原都知事のディーゼル車規制など、都の施策が国の方針に影響を与え、のちに国が追従する格好で国の施策となった。都知事の方向性は国の行政を変えるきっかけになるのである。

 安倍政権は、都知事選から国へと影響を与える原発発言は回避したかったのだろうが。
 専門家が原発再稼働は経済的にもまずいと言っているのである。巨大コストによって国民負担が増大すると言っているのである。それを、報道の自由を奪ってまで、国民に知らせることにストップをかける。半ば言論統制的に、国民に伏せたまま、国の根幹をなすエネルギー政策の方向性を決めようとしている。この信念はどうだろうか。

 やはり原発推進にかける信念だけはいただけない。ぜひその頑なな思いは、靖国問題だけに回していただければ幸いである。

 

NHK、脱原発論に難色 「都知事選中はやめて」

(2014年1月30日 東京新聞朝刊)

 NHKラジオ第一放送で三十日朝に放送する番組で、中北徹東洋大教授(62)が「経済学の視点からリスクをゼロにできるのは原発を止めること」などとコメントする予定だったことにNHK側が難色を示し、中北教授が出演を拒否したことが二十九日、分かった。NHK側は中北教授に「東京都知事選の最中は、原発問題はやめてほしい」と求めたという。

 この番組は平日午前五時から八時までの「ラジオあさいちばん」で、中北教授は「ビジネス展望」のコーナーでコメントする予定だった。

 中北教授の予定原稿はNHK側に二十九日午後に提出。原稿では「安全確保の対策や保険の費用など、原発再稼働コストの世界的上昇や損害が巨額になること、事前に積み上げるべき廃炉費用が、電力会社の貸借対照表に計上されていないこと」を指摘。「廃炉費用が将来の国民が負担する、見えない大きな費用になる可能性がある」として、「即時脱原発か穏やかに原発依存を減らしていくのか」との費用の選択になると総括している。

 中北教授によると、NHKの担当ディレクターは「絶対にやめてほしい」と言い、中北教授は「趣旨を変えることはできない」などと拒否したという。

 中北教授は外務省を経て研究者となり、第一次安倍政権で「アジア・ゲートウェイ戦略会議」の座長代理を務めた。NHKでは「ビジネス展望」だけでなく、二〇一二年三月二十一日の「視点・論点」(総合テレビ)で「電力料金 引き上げの前に改革を」と論じたこともある。

 中北教授は「特定の立場に立っていない内容だ。NHKの対応が誠実でなく、問題意識が感じられない」として、約二十年間出演してきた「ビジネス展望」をこの日から降板することを明らかにした。

 ◆詳細は答え控える
<NHK広報局の話> 中北さんに番組に出演していただけなかったのは事実です。詳細は番組制作の過程に関わることなのでお答えを控えます。

<解説>公平公正 裏切る行為
 中北徹東洋大教授のNHK降板問題で、中北教授はNHK側に「都知事選期間中は原発の話はやめてほしい」と迫られたという。再稼働を進める安倍晋三政権の意向をくんで放送内容を変えようとした可能性は否定できない。

 選挙期間中であっても、報道の自由は保障されている。中北教授は予定原稿で「現状では原発稼働がゼロでもアベノミクスが成果を上げている。原発ゼロでも経済成長が実現できることを実証した」「経済学の観点から、巨大事故が起きた際の損害額のリスクをゼロにできるのは、原発を止めることだ」と指摘した。

 NHK側が問題視した中北教授の原稿は、都知事選で特定の候補者を支援する内容でもないし、特定の立場を擁護してもいない。

 NHKの籾井(もみい)勝人新会長は就任会見で「国際放送で日本政府の意向を伝える」としている。原発再稼働を強く打ち出している安倍政権の意向を忖度(そんたく)し、中北教授のコメントは不適切だと判断したとも推測できる。

 原発政策の是非にかかわらず受信料を払って、政府広報ではない公平公正な報道や番組を期待している国民・視聴者の信頼を裏切る行為と言えるのではないか。 (中村信也)



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