2014年2月9日

デンマークに続け! もんじゅの夢より別の夢を ~政府がもんじゅ実用化研究を継続宣言~



 エネルギー政策で大きな転換を図った国といえばデンマークである。
 1985年、デンマーク政府は原発のないエネルギー政策を選択した。国をあげて、再生可能エネルギーへとシフトする道を選んだのである。おかげで、オイルショック時にわずか2パーセントだったエネルギー自給率は、現在100パーセントを軽く超えた。今後は、化石燃料に頼ることは保安上も環境的にも無理があるとして、2050年までに化石燃料に頼らない社会にするという野心的な目標を掲げているそうだ。

 対する日本はエネルギー自給率4%にとどまっている。できれば、日本もデンマークにこそ続いて欲しいと願うところだが、今日、驚きのニュースを目にした。

 2月8日、前日に実質的な「もんじゅの白紙化」について報道した日本経済新聞に、菅官房長官が噛み付いた。「報道のような方向性を決めた事実は全くありません」。これには驚いた。原発(もんじゅ)について、経済界でさえもう実用化は無理だと公言したことを国が覆そうとするのは、極めて珍しいことではないか。ただの誤解、もしくは解釈の違いだとは思えない。もんじゅの核燃料サイクルは詰んでいる、と日本経済新聞は確かに認めたのである。 


核燃料を無限に使い回しできることをうたい文句に、もんじゅは「夢の原子炉」と呼ばれ、原発から出る使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクルの柱とされてきた。核燃料サイクルの政策は見直しを迫られる。


 見直しを迫れ。デンマークに続け、と言いたいところである。菅官房長官の待ったで、わずか1日の「ぬかよろこび」に終わったもんじゅの白紙化。もしくは、この国のエネルギー政策の大転換。自給率100パーセントの自立国家としての未来も消えてしまうのだろうか。
 原発は重要なベース電源とする。それだけではない。エネルギー産業の国際化をお題目に、原発インフラの輸出(死の商人)を拡大しようとしている。
 エネルギー自給率が2パーセントから100パーセント越えという成功例が身近にあるのに、なぜ40年間の大失敗のエネルギー政策にしがみつくのか。日本が今のままでいいわけがない。

 テレビではオリンピック、そして都知事選の報道が繰り返される。わずか1分で都知事の座を決めたという舛添候補の笑顔が忌々しい。今日こそそれが、変わらない日本、変わらない政治の象徴と映る日はないのである。


 

もんじゅ「白紙化」報道 文科相「頓挫させてはならない」
(2014年2月8日 日本報道検証機構GOHOO)

▼日経新聞が1面トップで、政府が高速増殖炉もんじゅの実用化を「白紙」に戻すと報じたが、官房長官は否定。文科相は今後も実用化研究を進めるべきとの考えを示した。
【日経】 2014/2/7朝刊1面トップ「もんじゅ『増殖炉』白紙 エネ計画から削除」、2014/2/7夕刊1面「もんじゅ見直し『徹底的に議論』」 《注意報1》2014/2/8 07:00

日本経済新聞は2月7日付朝刊1面トップで「もんじゅ『増殖炉』白紙」と見出しを掲げ、政府が高速増殖炉もんじゅの実用化に向けた目標を白紙に戻し、これまで掲げてきた開発計画や期限を新たなエネルギー計画に入れないことを決定したかのように報じた。これに対し、菅義偉官房長官は同日の会見で「報道のような方向性を決めた事実は全くありません」と述べ、下村博文文科相も「本来、掲げた夢はここで頓挫させるようなことがあってはならない」と白紙化を否定している。


日本経済新聞2014年2月7日付朝刊1面


菅官房長官は会見で「エネルギー基本計画については、もんじゅを含め、さまざまなご意見を踏まえて徹底的に検討を行い、与党ともしっかり調整した上で決定する」と述べた。下村文科相も報道を否定した上で、「もんじゅ研究計画に示された研究に着実に取り組むことが重要」と今後も実用化研究を進めるべきとの考えを示した。

高速増殖原型炉もんじゅは、日本原子力研究開発機構が事業主体となり、文科省と経産省が所管。もんじゅをめぐっては近年トラブルが相次いでおり、菅官房長官はこの日の会見で、組織見直しが必要と明言。下村文科相も「機構の抜本的な立て直し」に言及した。

日本経済新聞は7日付夕刊1面で、菅官房長官が組織の見直しの必要性に言及したと続報したが、下村文科相が実用化研究を継続する考えを示したことは伝えなかった。逆に、もんじゅを所管していない甘利明経済再生相が会見で「もんじゅを核のゴミの減量施設に転用する可能性に含みを持たせた」と報じたが、実際は会見の中で「もんじゅを核のゴミの減量施設に転用する案」への言及はなかった。(*) 同紙は8日付朝刊の続報で、「政府は新たなエネルギー基本計画で2050年までに高速増殖炉を実用化する従来目標を盛り込まない方針」と、当初の「白紙化」から表現を大幅に後退させている。

エネルギー基本計画は国の中長期的なエネルギー政策を定め、少なくとも3年おきに見直しが必要。直近の2010年の計画では、もんじゅについて「2025 年頃までの実証炉の実現、2050 年より前の商業炉の導入」という目標を掲げていた。現在、経産省を中心に基本計画の見直しを進めており、昨年12月、「もんじゅ研究計画に従い、高速増殖炉の成果のとりまとめ等を実施する」と記した素案をまとめている。

(*) この転用案については、7日付産経新聞電子版が「自民党内の意見」として伝えている(MSN産経ニュース「もんじゅ実用化見直し 自民、エネ計画に盛り込み検討」)。


『もんじゅ「増殖炉」白紙 政府、エネ計画から削除 核ゴミ減量施設へ転用案』
 政府は発電しながら消費した以上の核燃料を生み出せるとしてきた高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)の実用化に向けた目標を白紙に戻す。これまで掲げてきた開発計画や期限を新たなエネルギー基本計画に入れない。トラブルが続き、燃料となるプルトニウムを増やす「増殖」のめどが立たないためだ。原子力発電所から出るゴミを減らす研究施設に衣替えする案が出ている。(以下、略)
(日本経済新聞2014年2月7日付朝刊1面より一部抜粋)

日本経済新聞2014年2月7日付夕刊1面


菅義偉官房長官記者会見(2014年2月7日午前) (首相官邸)

Q.高速増殖炉もんじゅについて、エネルギー基本計画に盛り込まず、実用化目標を白紙にするとの報道がありますが、受けとめをお願いします。 A.今日そうした報道があったことは承知しておりますが、新たなエネルギー基本計画は現在検討を進めているところであり、ご指摘の報道のような方向性を決めた事実は全くありません。いずれにしても、エネルギー基本計画については、もんじゅを含め、さまざまなご意見を踏まえて徹底的に検討を行い、与党ともしっかり調整した上で決定することとしており、政府として責任を持って対応してまいりたいと考えています。
…(略)…
Q.もんじゅの話に戻りますが、もんじゅをどうするかという以前に、もんじゅを運営している日本原子力研究開発機構の組織の問題が大きいかと思いますけど、増殖とか核燃料サイクルをどうするかとは別に、組織を何とかしなければいけないという問題意識はございますか。
 A.ここは正直言ってあります。ただ、文科省で、いろんな不祥事が多発する中でですね、今、しっかりとこれ、対応をし始めていますので、そこは必要があるというふうに思ってます。

下村博文文部科学大臣記者会見(2014年2月7日) (文部科学省)

Q.「もんじゅ」をエネルギー基本計画の中に入れないという報道がありましたけれども、今後の対応についてお願いします。
A.新たなエネルギー基本計画については、昨年12月に総合資源エネルギー調査会で取りまとめられたエネルギー基本計画に対する意見を踏まえ、現在政府内で検討を進めているところで、報道のような方向については全く事実ではありません。「もんじゅ」については、まずは原子力機構改革の中で運転管理体制を整え、克服すべき課題に1つずつ着実に 取り組んだ上で、「もんじゅ」研究計画に示された研究に着実に取り組むことが重要と考えており、今後、閣議決定に向けて、引き続き、責任を持って対応していきたいと思います。
Q.そういう検討はなされているのか。
A.まず、政府の中でのそういう方向について決定したことは全くないということです。ただ、自民党の中で、ある議員がそういう発言をされてるということは報告を受けています。私としては、核燃料を無限に使い回しできるということで、「もんじゅ」というのは夢の原子炉としてスタートしたという経緯がありますから、日本としても、また人類としても、捨てることではないと思います。ただ、あまりにも今までの「もんじゅ」における現場の対応が、いろいろとお粗末で、国民から不信感を買って、それに対して原子力規制委員会が厳しく対応しているということがあり、今後の機構の抜本的な立て直しを含めて、「もんじゅ」については謙虚に対応していく必要があると思います。しかし、本来、掲げた夢はここで頓挫させるようなことがあってはならないのではないかと私自身は思っています。
Q.「もんじゅ」は第一義的には、増殖炉としての働きを担っていくことが肝心だとお考えということでしょうか。
A.そうですね。私としてはというか、文部科学省としては、当然そういうスタンスで臨むべきだと思います。

■茂木敏充経済産業大臣記者会見(2014年2月7日) (経済産業省)

Q.今朝の一部報道で、「もんじゅ」に関する計画を白紙に戻してエネルギー基本計画から削除するという報道あります。事実関係と大臣のお考えを。
A.そのようなことは決まっておりません。現在、昨年末の基本政策分科会の意見を踏まえ、またパブリックコメント等も反映させながら、政府原案を丁寧に作成をする作業でありまして、現段階において報道のようなことは決まっておりません。
Q.報道には一部、核のごみを減らす方向に転用するということもあるんですけれども、そういったことも。
A.それも含めて決まっておりません。

甘利明経済再生担当大臣記者会見(2014年2月7日) (首相官邸)

Q.少し所管を外れますけれども、エネルギー基本計画に関して、高速増殖炉の「もんじゅ」について実用化に向けた目標を白紙に戻す、基本計画に入れないという一部報道がありましたけれども、事実関係とその受け止め、どう考えたらいいのかお願いします。
A.これはまだそういう決定には至っていないと承知しております。「もんじゅ」というのは、資源少国日本が、どうやってエネルギーのリサイクル利用をしていくかということ、それから最終的な廃棄物の絶対量を減らしていくという、この二つの精神でスタートした事業であります。そのスタート以降、いろいろな事案、事件で頓挫しておりますけれども、そのスタートの時の考え方と、今後のエネルギー政策、なかんずく原子力政策をどうすり合わせていくかということを、経済産業省を中心に取り計らっていって、結論が出ていくのであろうと思っています。

エネルギー基本計画(平成22年6月) (参照) (経済産業省)

 高速増殖炉サイクル技術は、我が国の長期的なエネルギー安定供給等に大きく貢献するものであり、早期実用化に向けた研究開発を着実に進めることが重要である。2010 年5月に試運転が再開された高速増殖原型炉「もんじゅ」の成果等も反映しつつ、2025 年頃までの実証炉の実現、2050 年より前の商業炉の導入に向け、引き続き、経済産業省と文部科学省とが連携して研究開発を推進する。
 具体的には、高速増殖炉サイクルの実用化に関するこれまでの研究開発の成果を踏まえ、2010 年度に革新技術の採否判断等を行う。また、実用化を一層円滑に進めるため、進捗に応じたプロジェクトの進め方・役割分担等を検討する。加えて、高速増殖炉の実用化技術の早期確立を図るとともに、将来の国際標準を可能な限り我が国が確保するため、国際協力を適切に進め、将来のエネルギー安全保障を担う国家的な基幹技術としての性格を踏まえ、我が国の自立性を維持しつつ互恵的な国際協力関係を構築する。

エネルギー基本計画に対する意見 (参照) (経済産業省資源エネルギー庁)







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